2020.2.18

テレビの天気予報は、朝から雪を知らせていた。

 

降り続く冬の雨に、

東京の街がすっぽり覆われている。

こんな日は、家でゆっくりするのもいい。

 

でも、

 

『久しぶりに”あの”カメラを使ってみよう』と思い立った。

最後に使ったのは、確か中学2年生のときだ。

修学旅行でデジカメを持って行けない代わりに、

学校の先生から配られたのが、

 

写ルンですだった。

撮れる枚数は、27枚。

今日は、このフィルムカメラと、いつものデジカメを相棒に、

広尾の街へ向かうことにした。

 

写ルンですの1枚目は、白と黒の色彩が哀愁漂う「さつまや」の扉。

広尾に4年近く通っているが、「さつまや」を訪れたのは今回が初めて。

「ごはん、とん汁お替わり自由!」

「コーヒーorジャスミン茶付き!」  の文字に目が留まったのだ。

 

扉を開け店内に入ると、木のぬくもりを感じる空間が。

平日の昼さがり。

 

心落ち着くおしゃれな音楽、

ふすまで仕切られた個室、

カウンター。

 

居心地の良さに、胸が高鳴った。

 

今回頼んだ「チキン南蛮タルタルソース定食」は、優しい味わい。

とん汁は、寒い日の強い味方だ。

 

チキン南蛮に、熱々のとん汁2杯を食べ終えた頃には、

身も心もすっかり満たされていた。

 

雨降る冬空の下、フラッシュをONにして、

写ルンですのシャッターを再びきる。

フィルムレンズを通せば、あら不思議。

いつもの街並みも、昔懐かしい景色に変わる。

普段何気なく見ていたあのお店の看板も、レトロな印象に。

 

続いて、有栖川宮記念公園の梅の花。

デジカメのように、1輪の梅の花にスポットライトを当てることは難しい。

写ルンですは、いつもより遠くからの景色を捉えた。

 

初心者のフィルムカメラ撮影には、失敗がつきものだ。

現像した写真を見てみると・・・・

 

近づきすぎたのか、

ピントが合わず、ぼやけてしまったり、

白飛びして、

「一体、何食べたの?」くらいに、ごはんのコンディションが最悪だったり,

27枚の中に、うまく撮影できなかった写真がまざっている、

なんてことがある。

フィルムカメラは、やり直しがきかない。消せない。

 

でも、

消せないからこそ、失敗した写真ともしっかり対面する。

そして、シャッターをきった瞬間のことを鮮やかに思い出し、

徐々に愛着が湧いてくる。

 

とどのつまり、物事は捉えようなのだ。

 

さて、翌日、広尾の空は気持ちよく晴れた。

27枚目の最後は、やっぱり、

広尾の青空。

 

木々の合間から、顔を見上げてファインダーを覗く。

 

雨が上がった後の青空は、

晴れが続いた空よりも、心なしか、

青く、清々しい、気がする。

雨降る日を静かに待つ日があってもいい。

傘も差さずに、ずぶ濡れになる日もある。

 

でも、雨を存分に味わったあとは、

晴れをもっと鮮やかに楽しめるはずだ。

 

明けない夜はないし、

やまない雨はない。

 

雨でぬかるんだ道は、少しずつ乾き始めている。

 

れんジョー

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