ある日のこと
朝、目が覚めて、嫌な予感がした。
のどの奥が、ざわざわしている。
鳴り響くアラームを止めて、
携帯のホーム画面に戻ると、アプリが“今朝のおすすめ記事”を表示していた。
今や日本では一般的な、「インドカレーのナン」の進化について書かれたものだっ
た。
『今日はあれだ。カレーしかない。』
いつかのテレビで、無性にカレーが食べたくなる時は、「風邪を引くサイン」だと
いっていたことを思い出す。
こうして、私が向かった先は、広尾駅すぐのマサラキッチン。
ここのランチは、美味しさもさることながら、ボリュームも半端ない。
また、インド料理だけではなく、本格的なタイ料理も味わえる、不思議な場所だ。
ランチセットのカレーには、ナスキーマ(写真左)とマトン(写真右)をチョイス。
そして、タイ料理からも一品。
チキンフォーを頼んだ。
うんうん、この味が食べたかった。
やはり、ここに来ると、チーズナンも頼んでしまう。
このお店で、初めてチーズナンを口に運んだとき、こんなにも幸せになれるナンが
あるナンて思ってもいなかった。
中には、チーズがびっしりとつまっていて、温かさと共に、チーズがとろけ落ちていく。
では、ここで、ナンについて、少し長いお話を。
日本のインド料理店で親しまれている、「大きなナン」だが、実は本場インドで
は、あまり口にされていないことをご存知だろうか。
というのも、ナンを焼く大きな窯を持つ家庭が少ないからだ。
インドにおいて、ナンは、高級レストランで食べられるような贅沢品であり、日本
に来て初めてナンを口にするインド人もいるという。
では、なぜ、日本で食べられているインド料理には、ナンが一般的なのだろう。
実は、日本のインド料理は、イギリスを経由して入ってきたスタイルがもとになっ
ている。
その昔、インドがイギリスの植民地だったとき、イギリス人の好む形にアレンジし
たインド料理が日本で定番化されたのだ。
ヨーロッパ人の好むパンに近いということで、ナン+カレーのスタイルがイギリス
で広まり、それが日本にも入ってきた。
さらに、ナンは、日本の地で独自の進化を遂げていく。
大皿からはみ出るほど、大きさはどんどん大きくなり、
ふっくらと、甘いナンになっていった。
また、日本のインド料理店では、ネパール人が働いていることが多い。
いつも、「美味しいですか。」と笑顔で接客をしてくださる、マサラキッチンのス
レスさん(/?page_id=3596)もそのお一人だ。
話は戻り…
ここでの食事のお供には、「マンゴーラッシー」が欠かせない。
「ねえ、ママ、マンゴーラッシーは世界一美味しい飲み物なんだよ。」
耳を傾けると、隣のテーブルで料理を待つ女の子が、嬉しそうにこんなことを言っ
ていた。
食事を終えて外に出ると、熱い空気が相変わらずむしむしと漂っている。
来たる5月19日は、毎年恒例の大鮪まつり。
今年もよい天気に恵まれますように。
そんな私の喉の奥では、嫌な雷が鳴っている。
こちらの雲行きは怪しそうだ。
れんジョー