メキシコへ

2019.3.14

私は、いま、「メキシコ」との国境に立っている。

 日本を飛び立ったのはほんの少し前だ。

  なぜ、私が「メキシコ」にいるのか。

遡ってここに綴ろう。

  

最近、心が妙にバタバタしている。

 あぁ、

旅行鞄を片手に、どこか、陽気な国へでも飛んでいければいいのに!

 けれど、実際にはそう簡単に世界旅行なんてできない。

  

そんな時である。

メキシコ料理店「ラ・ホイヤ」の紹介ページから、こんな言葉を見つけ出したのは。

  ~パスポート要らずの常夏のメキシコへ旅に出かけませんか?~

 怪しい勧誘の文字。

 でも、パスポートが要らない、だなんて。(完全ロックオン)

   

こうして、私は、ラ・ホイヤ(LA JOLLA)を目の前にして立っている。

陽気なメキシコへの憧れを抱いて、広尾のまちへとくり出したのだった。

  

店内の天井には鮮やかな鳥や、メキシカンハットがぶら下がり

 

壁には、カラフルで美しいメキシコの工芸品

 

サインやメッセージが書かれた色紙でびっしり!

 

観光客気分で、見慣れない料理をオーダーしていく。

 

まずは、ハラペーニョ・フリトを。

ハラペーニョは、唐辛子の一種だ。 

食べて驚くのは、その痺れるような辛さ。

でも、口の中で混ざりあうクリームチーズとともに、

その辛さも不思議と病みつきになってしまう。

 

これは、緑のポソレ。

 透き通る緑色のスープの中には、

 シャキシャキ感がたまらない赤カブ、初めて食べる「白いトウモロコシ」など...

 お宝がザクザクと埋まっている。

なかでも、あまりの美味しさに小躍りしてしまったのは、

ラ・ホイヤ3月のおすすめだという、菜の花と桜エビの燻風ケサディーヤ。

 

 味は濃い目で、ほんのりスパイシー。

カリカリの桜エビと苦みのある菜の花の組み合わせに、

チーズの香ばしさも加わって、口いっぱいに春のうまみが広がる。

 

食後は、オルチャッタという飲み物を。

 今日は寒かったので、ホットでオーダーした。

 日本の甘酒にも似た味。でも、甘酒が苦手な私でも飲める。

 「お米の自然な味わいに、シナモンやアーモンドを加えた優しい甘さ」とのこと。

 

この優しい味を日本語でどう言い表そう。

水色のカップのなかで、雲のようにふわりと漂うオルチャッタ。

 

ここは、やっぱりメキシコなのかもしれないな。

 

訪れた者だけが出会える、不思議な味にそう思う。

  

パスポート要らずのメキシコ旅。

必要なのは、胃袋と、ほんの少しの楽しみ、

ただそれだけ。

 

れんジョー

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