広尾がもっと好きになる店 キッチン屯
キッチン屯(たむろ)がリニューアルオープンした。
旬の魚介で作る素朴で文句なしに旨い肴と
焼酎大好き店主の宮﨑さんが選び抜いた酒を味わえるお店だ。
魚介は、主に余市や函館など
宮﨑さんの出身地である北海道の漁港から直送されてくる。
以前は夜時間に同じ店舗でバーが営業していたが、バーが閉店した今は屯の営業時間が伸びて16:00スタートのラストオーダーが22:30となり、
夕食後の“遅めのちょっと一杯”も楽しめるようになった。
コロナ禍でしばらくの間外食を控えていたので、なんとも久しぶりに屯のカウンターに座った。
開店直後はまだ明るい。
この時間帯は“待ってました”と入店してくる常連さんが杯を重ねる。
皆楽しそうだ。
地元の方なので顔見知りも多い。
初めて広尾散歩通りに来た方もこの時間に入店すれば、気の良い常連さんから広尾の話をいっくらでも聞けるかと思う。
興味があれば・・・ですけど。
リニューアルで設えた壁際の小テーブルも使い勝手が良さそうだ。
小テーブルを挟んでスツールに腰掛ける。
カウンター席が埋まっていても
ウォーミングアップ?にはここで十分。
いや、最後までここで良いかも。
スツールにちゃんと座っていられるうちは
まだ“酔いも軽傷”のバロメーターになる。
いつ来ても落ち着く、心地良いお店だ。
お酒のセレクトは宮﨑さんにおまかせ。
まずは店名の由来となった大分の麦焼酎「屯」を
並々と注がれたロックでいただいた。
「今しか食べられない旨い魚が入っていますから食べてみてください」と出してくれた肴は
索餌(さくじ)ニシンの炙り。
餌を豊富に食べ、一番脂がのるごく限られた時期のニシンをこう呼ぶそうだ。
初めて食べた。
旨いなんてもんじゃない。
上品な脂がじゅわぁっと染み出てくる。
これまでのニシンの認識を変える美味しさ。
これは酒が進む。
このままロックで呑み続けると帰り道がおぼつかなくなる。
次は看板メニューの春巻きをほうばりながら米焼酎「園の露」をお湯割りでいただいた。
お隣の席に座っていらした方はなんと屯にお酒を届けに来た酒屋さん。
あまりにも居心地が良いので、お店で数杯吞んでからお帰りになるつもりで配達に来るそうだ。
その気持ちわかるなぁ。
この店に来るとなんだか心が軽くなる。
宮﨑さんの人柄に触れるたびに
「酒場は人」という言葉を思い出す。
「屯」の一升瓶の裏ラベルにはこう書かれている。
良き処、うまき肴、おもしろき話。
これが揃うと人が自然によってくる。
この時 うまい麦焼酎があると大変なことになる。
なにしろ人が帰らない。
ワイワイしながらびたびた居る。
これを屯(たむろ)すると僕らは呼ぶ。
「こういう店にしたいと思って屯を始めたんです」と。
いつお邪魔してもその通りを貫いている。
女性がひとりでフラッと来ても至極安心なお店だ。
初めて屯に入ったお客さんはきっと広尾をもっと好きになって帰ると思う。
この日は思いがけないサプライズがあった。
実はお隣で仲間同士で呑んでいたお客さんのひとりが以前の職場の同僚だった。
呑んでいる最中は旨い酒と肴に夢中で気が付かんかった。
帰り際のひょんな会話から
「えっ?」
「エッ?」
「あれ?」
「ア~」
「だよね~」
「あっ、どうもぅ」
「久しぶり~」
となった。
ここまで呑むと今日もあぶないかなぁ~とは思いつつ
めちゃくちゃ旨い鹿児島の「ジョイホワイト38度」もクイクイいってしまった。
体がふわふわしてきて
至極気持ちが良い。
やっぱり足にきた。
宮﨑さんが表通りまで見送ってくれた。
手元が揺れて
カギがドアのカギ穴になかなか入らず
苦労?はしたが
なんとか無事帰宅した!
気持ちよく呑んだ時の酔いは「良い酔い」だ。
まあ本人がどう思おうが
家族にとっては
わけのわからん
面倒くさい酔っ払いが
帰ってきただけ。
by Oyaji-M