広尾商店街って下町ですか?

2021.6.29

メディア等で広尾の紹介が載ると、ハイソ、洗練された、国際的、お洒落、上質、高級等の言葉と並んで「レトロで下町っぽさが残る広尾商店街も魅力です」と書いてくださいます。

都内の地域で言えば、もちろん「下町」の範疇には入りませんが、住人の私からみてもこの街の持つ雰囲気や成り立ちを考えると下町に通じるものがあるように思います。

かの東京大空襲で東京が焼け野原になったときに、幸いにも広尾商店街の中心エリアの家屋は焼失をまぬがれたこともレトロな雰囲気を残す大きな要因でしょうか。

更に遡れば大正12年の関東大震災でも、この付近で全壊した家屋がほとんどなかったと長老のひとりから聞いたことがあります。地盤がしっかりしているからとのことでした。

家が残れば、人が残り、営みも受け継がれたのですね。

創業100年を超えるお店もいくつかあり、多くのお客様にとりまして、無くてはならないお店として日々の生活に溶け込んでいます。

広尾駅を出て広尾散歩通りに入ってすぐ、ブルーボトルコーヒーの隣でユニークな暖簾がかかる銭湯の「広尾湯」。

道なりにしばらく進んだところの文具・事務用品の「奥本いろは堂」、その先で正面に見える祥雲寺山門のお隣でどんとお店を構える花屋の「花寅商店」は皆100歳を過ぎています。

営業年数が一番長いお店と言えば、ナチュラルローソン前のスニーカーショップ「タダスポーツ」ですね。明治26年に下駄屋として開業されていますから、130周年も間近です。

営業年数は3桁に満たないものの、2代目3代目が活躍している店舗も沢山あります。

一方、残念なことに最近閉店してしまった手焼きせんべいの「山田屋」は昔のままの店構えでまさにレトロな趣でしたね。ここは多くの方が持つ“ 広尾 ”のイメージとのギャップがあるために、更にレトロ感が膨らんだのかもしれません。

歴史あるお寺の山門が商店街中央にあり、ちょっと裏道に入れば、小さいながら多くの方が参拝に訪れる弁天さんが街を見守っているのも、なつかしさと“ 下町感 ”をもたらしていますね。

地元の方が講元として弁天さんを守り、節分には豆まきも行われます。

私も子供のころにはお寺の境内でしょっちゅう“ カン蹴り ”をやり、この弁天さんの目の前ではベーゴマに熱中していた思い出があります。

地元のおじいちゃん・おばあちゃんがかつて通った至近の渋谷区立臨川小学校は140年以上の歴史を持ち、さらに子どもたちも通い、今はその孫たちが同じ小学校で学んでいることになります。

長く住まわれている方が多く、商店街を歩くとたくさんの知り合いに出会います。

商店街内の一部には、ご近所さん持ち回りでごみ集積所をお掃除する“ ゴミ当番制度 ”が残っています。

顔見知りが多いと言いうことは、いつも多くの目が見守っていること。安心・安全な街でいられる大きな要因です。

街の文化も雰囲気も人が作るわけですからね。

最近お仕事で広尾を訪れた方とお話しする機会がありました。

その方は、他の街には多くあるチェーン店が広尾には少なく、広尾独自のお店が多いことに驚いていました。

チェーン店がないわけではありませんが、開業の条件に見合うような物件が少ないことも確かかと思います。出店されたチェーン店の多くは商店街に加盟され街の盛り上げに尽力してくださっています。

逆に広尾で初めてお店を構えて人気店となり、他の街で2店目以降を開いた店舗は結構あるのです。とってもうれしい事実です。この件はまた折をみてお伝えしたいと思います。

インスタ映えするお店も増えたせいでしょうか。最近は若いカップルが以前より多く広尾散歩通りにお越しくださるようになりました。

これからも大切なものは残しながら、急がず焦らずコツコツコツと歩みを進める、下町っぽい広尾散歩通りであってほしいものです。

 

by  Oyaji-M

 

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