酒飲み話

2021.5.19

最近娘から聞かれた。

 

「お酒を飲んで酔っ払うのって・・・

どんな感じなの?

フワフワする?」

 

そうだなあ。

まあ、ポーとするね。

それに気が大きくなる。

なんか、できそうもないこともできそうに感じるっていうのかな。

 

「ふぅーん・・・・・」

 

この頃はよく記憶が飛んじゃう。

ほとんど覚えてないんだよね。

2件目なんて、行ったことすら覚えていないけど。

行ったらしい。

 

「・・・・・」

 

昔のことだけどね。

学生時代飲みに行くとね。

いつもこれをやると  “  あっ、オレ酔っ払ってるな  ”  ってわかるってことがあったんだよ。

 

「・・・・」

 

あのね、トイレに行ったときにね、

メガネかけたまま顔洗うの。

 

「えっ・・・・・」

 

いくら顔を拭いても目の前のしずくが残るってわけ。

メガネは拭いてないから。

ハハハ・・・。

 

「・・・・」

 

学生の時ってさ、早い時間から飲めるじゃん。

 

六本木のシェーキーズでさ。

良く行ってたんだよね。

同じクラスのやつとふたりで。

ひとりずつ、ビール、ピッチャーで飲んじゃうの。

まるまんまね。

あのデカいやつ。

ジョッキに入れると5,6杯ぐらいとれるやつ。

両手で持ってそのままグーっていくわけ。

そんで、あそこのポテトさ。

ジャガイモを1センチくらいかな。

このくらい,

厚めに切って揚げてあるからうまいのよ。

食ったぁって感じがして。

スパイス効いてて。

これにビールが最高なの。

 

で、当時は生バンドが入ってたんだよね。

バンドっていっても二人で、バンジョーっていったかな。

あの、ほら、引くところが丸いギターみたいなやつ。

あれで演奏して歌ってくれるわけ。

早い時間なんて俺たち以外ほとんどお客さんいないから

サイモンとガーファンクルとかリクエストして歌ってもらってたんだよね。

俺たちだけじゃん。

思いっきり拍手してさ。

 

チョーシこいて、ピッチャーおかわりなんてね。

金があればだけどね。

学生だから。

いやーあの頃は飲めた、飲めた。

 

「・・」

 

夕方から飲み始めて、結構飲んでも夜7時ごろだったりするわけ。

そんな時間に帰ってくるんよ。

ちょうど会社員が帰るラッシュっぽい時間でさ。

混んだ地下鉄でさ、酒臭いの俺たちだけなのよ。

その時間じゃ、まだ会社員とか飲んでないからさぁ、

まわりのみんなの視線が語ってんの。

だれだよ、こんな時間から酒くせ~のって。

俺たちもなんだかその視線わかっちゃうわけ。

だから、わざとらしくシラっとした顔して,

だれでしょうね?みたいな顔してみるんだけどバレバレなんだよね。

ハハハ・・・。

 

「・」

 

聞きたくなかった話のようだ。

 

 

 

最近、商店街のお店で飲んでいない。

お店閉まってるし。

 

夜の街には人がいない。

 

 

緊急事態宣言が出てるんだから当然だ。

 

さびしい・・・。

 

別に酔っ払いたいわけではない。

 

 

「あ~、どうも」

 

「いらっしゃい。あら、今日は早いじゃないですか。おひとり~? カウンターにどうぞ」

 

「家族がね、旅行に行っててさ、一泊だけなんだけど。

まあ、夜ご飯どうしようっかなって困っちゃってさ~」

 

「困っているようには見えないですよ~。なんかうれしそうで」

 

「こまったぁ、こまったぁ・・・・っと。 今日はちょっと飲んじゃおうかなぁ」

 

「今日は、ですか?    まあ、今日もゆっくりしていってくださいね」

 

「大将、今日は魚は何がいいんすかねぇ?」

 

「いくつもありますよ。イサキもいいし、アジもよくなってきましたね。 太刀魚焼きましょうか?」

 

「いいっすねぇ。お願いしまっすぅ。 日本酒のメニューくださ~い」

 

「はいはい」

 

 

一日も早く、こんな“日常”が戻ってきてほしい。

 

by   Oyaji-M

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